金沢大学映画研究会

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【7月1日】上映会『夢と狂気の王国』

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宮崎駿、かつて火の七日間で世界を焼き付くしたロリコン
その正体はスタジオジブリの、またはアニメ界の、はたまた日本の映画業界の中心に居続けたジジイ、その人である。
昨年夏公開のアニメーション映画『風立ちぬ』の公開から遡ること数ヶ月、2012年秋を向かえていたスタジオジブリの日常風景から砂田麻美監督作品『夢と狂気の王国』は始まる。

大体の内容はというと、

パヤオ、愚痴る愚痴る。

パヤオ、ラジオ体操する。

パヤオ、呪われた夢を語る。

パヤオが夢と狂気の王。

そして彼が君臨する王国こそスタジオジブリ

「戦争で使われる兵器は好き。だけどその兵器が使われる戦争は嫌い」

「世界の多くはくだらない。だけどそこにいる子供達にはそんなこと言えない」

「高畑さんは性格破綻者。高畑さんは偉大」

矛盾したことしか言えないパヤオ

ジレンマを孕むことこそ狂気の沙汰、ハッキリわかんだね。



ナウシカを筆頭とする強いヒロインを生み出したのはパヤオの偉大なる功績であり、逆に取り返しのつかない罪でもある。

戦うヒロイン・ナウシカが数十年後に、あんたバカァ?やティロフィナーレを生む風潮を作り出すことに加担したと言っても過言ではない(異論は認める)



風立ちぬ』のラスト、ネタバレだがヒロインが亡くなる。

クラリスナウシカ、シータ、さつき、キキ、フィオ、サン、千尋、ソフィ、ポニョ......

宮崎駿監督作品でヒロインが死ぬのはこれが最初で最後だろう。

パヤオの描いた堀越次郎に投影されたのは、作中の時代的にはパヤオの父であり、呪われた夢を追いかけた的な意味ではパヤオ自身でもあり、中の人的な意味では庵野秀明でもある。

三つの時代の同時平行、二つの時代を繋ぐパヤオ自身、パヤオにとっての過去と現在と未來。

派手な空中戦もないあの映画はパヤオのこれまでの人生記録の集大成超融合ムービーなのかもしれない。



~空に憧れて、空を越えていく。

あの子のいのちは、ひこうき雲



一機も帰ってこなかったゼロ戦

「君は生きねばならない」



ここにも矛盾、狂気がある。

夢を追うことが、狂気なのか。

狂気があるから、夢なんか追いかけるのか。







夢より熱く、狂気よりも深いもの







美だ。







「美しい風のような人だ」







夢と狂気の王国は美しい。

いい映画でした。







パヤオにありがとう。

パヤオにさようなら。

そして全ての子供達におめでとう。










--生きねば。


執筆者:ASN