金沢大学映画研究会

全学公認サークル「金沢大学映画研究会」のブログです。誠心誠意不定期更新中

【活動報告】(祝)新入

 

報告

部員が18人ほど増えました。 

 

こんにちは、サークルのnoteとブログ更新をほしいままにしている4回生のMSYSです。

新歓からずいぶんと経ってしまいましたが、活動報告として更新します。

 

コロナウイルスの流行に伴って、サークルの活動が制限されてしまっている現状ですが、映画研究会につきましては4月ごろの(比較的)状況が落ち着いた中で新入生歓迎会などを細々と行った甲斐があり、新入生・上回生問わず新入部員が集まりました。

めでたい。

 

今までは部員を"動的に管理ダイナミック・マネジメント"*1していたのですが、今年度は例の感染症の影響で今後の活動が不安定なこともあり、サークルとしての機能が停止してしまうことが懸念されたため入部届を集めました。

 

google form を入部届として使い、せっかくなので入部の理由についてアンケートを取りました。

僕は結果をちらっと見ただけですが(フォームの作成などはUEMR君が一晩でやってくれました)、映画を観るのに興味がある人が一番多く、次点で人間関係を広めたいとの意見が多かったように思います。もちろん、映画製作の方に興味がある人もいました。

 

上映会について

映画研究会では日常的な活動として、上映会を行っています。

具体的には4限おわりに(現在は完全に開かずの間と化した)図書館AVや、(顧問の電子印が必要となりやや予約が面倒になった)人社棟の空き教室などに集まり、部員が選んだ映画を観たあと食事会に行き、日によってはその後もダラダラと部員の部屋で映画を観たりどこか遊びに行ったりします。

基本的には新歓上映会⇒食事会とやってることは同じなのですが、

他の部員が選んだ映画をなんとなく観たら、それがめちゃくちゃ面白かったりするので観る映画の幅が広がったりして楽しいです。

食事会では映画の内容もそうですが、日常的なことを話したり、""思想""について話したり*2、いろいろと交流していた記憶があります。

 

個人的な大学生論(読み飛ばしてヨシ!)

大学のサークル、というか人間関係というのは高校までとは違って、みんな成人に近いですからそれなりに、(金銭面とか生活の面は置いといて)少なくとも精神的には自立しているというか、集団の力学によって"キャラ"として歪められるところが少ないというか、単純に言ってしまえばそれぞれの個性が強い気がして、それが僕は好きなんですよね。

大学などというものは「モラトリアム」と呼ばれるように膨大な授業以外の自由な時間が与えられていて、その自由時間を個々人の関心・性質に沿って消費していくわけですから、基本的な活動をみっちりとした時間割や部活動に拘束されていた義務教育・高校よりも、学生がひとりひとりが分化していく気がします。

高校までの汎用的な勉強からより尖った学問を学び、その先端を研究するという専門性以外にも、

生活による分化というか、授業外でアルバイトをいくつも掛け持ちしてフリーター顔負けに働いたり、寝る間も惜しんでゲームに熱中したり、広い友好関係をもって色んな人と遊んだり、自主的に勉学に励んだり、なにもしなかったりと、学生の過ごし方は本当に十人十色でどれが正しいとかもなく、「社会(の厳しさ)」という外圧によって成型されないために各々が否が応でも分化してしまう・・・・・

みんなそれぞれ異なっていてそれが楽しくて、同じ大学の人との人間関係を広めたい気持ちもよくわかります。

 

 

今後の活動について?

サークルの話に戻りますと、だから上映会だけじゃなくてその後、その他の時間も大事にしていきたいところですが、情勢的に食事会は難しそうなので今のうちになにか他の方法を考えたいですね......。

 

というか、「まん延防止なんたら」とかを受けて学内のすべてのサークルは対面による活動が6/13いっぱいまで禁止されていますので今のところ対面では何もできませんね。

 

まぁテスト期間も入ったことだし、インターバルは活動自粛ということでQ2に入ったら上映会と部費集めができればなぁと思います。

10人以上の規模の確定新歓などは当分できそうにありませんが、ほんわかとかで部費出しに来つつ居合わせた部員とちょっと雑談くらい、どうでしょうか。

あぁ、あとはパソコンの引っ越しもやらなきゃですね。MYS君の部屋に移すのかな?

結構やることあるなぁ。

 

※これは個人的な見解にすぎず、部全体としての決定事項ではありません。

 

 

 

おまけ

 最近観た作品メモ

映画『ノマドランド』(アカデミー賞のあれ)

誇りある、”自由な人生” 映画 ノマドランド

 とてもよかったです。

ドキュメンタリーっぽい撮り方をしていて、というのも主演以外のほとんどの登場人物を実際のノマドが演じていて(あるいは、演じてすらいなくて、彼らはカメラなど無いように自然に過ごしているだけなのかもしれない)、ノマドの生活を克明に描いているところもあって残酷なまでにリアリティを感じる。

「残酷なまでに」と言ったのはノマドたちの暮らしが、資本主義の側である僕たちから見たら結構過酷で、ノマドって言っても高齢の不定住居者がほとんどで、Amazonの流通センター?みたいなところでハードな肉体労働を点々としていて、経済的にも不安定だ。

主人公がところどころ訪れるのは都市というよりは自然のランドマークで、青っぽい朝の背景は孤独に佇む彼女を飲み込んでしまいそうで、冷たくて無機質で冷ややかですらあって、実在する現実の重さを感じさせ、でも(だからこそ?)美しい画だった。

金沢ではもう上映してないかもですが、独特の温度感を味わえる作品ですので何かの機会があればぜひ。

 

 

アニメ『ゴジラ Sシンギュラ.Pポイント

ゴジラ S.P」昭和ゴジラのポスター感じさせるキービジュアル、OPはBiSHの新曲に(コメントあり) - コミックナタリー

今季はこれとスーパーカブ、ゾンサガ、VIVY、ダイナゼノンを観てるんですが一番更新が待ち遠しいのはこれですかね。

 時代を代表するSF作家・円城塔脚本ということもあって、設定がよい。というか、SF的なギミックがカッコよすぎる。

時間を屈折させる別次元の物質「アーキタイプ」とそれを操作する「オーソゴナルダイアゴナライザー」(行列演算における直行対角化のことらしいが、よくわからん)、時間を超える計算機に、それが指し示す「破局」...これを登場人物がみんなで頑張って解こうとするのがアツい。

あとは怪獣がしっかり不気味で脅威をもって描かれるところがいいなと思いました。メインキャラクターが死ぬことはないので、まぁ甘いっちゃ甘いんですけど、ダイナゼノンが怪獣をポップに描いているのと比較すると、災厄として人々を脅かしていて。

シンゴジラ』っぽく災害としての怪獣、ゴジラなんですよね。シンゴジっぽいといえば、自衛隊とか警察とか「シヴァ共同体」っていう研究機関みたいな公的な機関が怪獣の相手をするんですけど、田舎の小さい会社と大学院生というごく小規模な主人公たちがメインで活躍するので、そこがちょい違うんだよね......

アマプラには無くて視聴方法が限られますが、ネトフリにはあるのでよかったらどうぞ。

 

あと、僕ばかりがブログを更新するのも(外界から観測できるサークルの印象が個人の性質に偏るため)あんまり良くないと思うので各自適当に更新してください。

 

オワ・オワリ

*1:入退部の境界が曖昧で、部員名簿などを用意せずテキトーに管理する、あるいは管理していない状態を表す

*2:ちょっと前は、やたら右翼思想とフェミニズムについて(半分与太)話していたような?

【活動報告】レコーディングと新歓上映会

こんばんは。

先日、部員が作成した映画の音声収録レコーディングを敢行しました。

映画研究会には撮影用のカメラと録音用のマイクなどの機材がそろっているのですが、撮影と録音を同時に行うのは困難なため最近では動画撮影と録音を別日に行っています。

カメラだけだと音声が拾えないし滑舌も悪いので「なんかいってるけど何言ってんだこいつ・・・」ってなっちゃうからね、しょうがないね。

 

各自編集スタジオ*1にやってきて動画にアテレコする形式で声を付けました。

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図1.部で管理している共有デスクトップパソコンと監督

声も当てられるのでみんな声優になれます。これはお得(?)

 

 

閑話休題まぁそれはそれとして

 

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新入生歓迎会のほうですが、教室が借りれるようになったので例年通り上映会ができるようになりました!

 

 

今週は『雨の日は会えない、晴れた日は君を思う』、『ボヘミアンラプソディー』を上映しました。

僕は上映会のあと「『ボヘミアンラプソディー』は光の使いかたが巧妙で過去のシーンは黄色っぽいノスタルジックな色で照らして現在に近づくにつれて白っぽくなってて、あとメアリーとの別れのシーンは不自然に青色の光源を使っててぇ…」みたいなことを延々とニチャニチャしてしました。(反省)

新入生も何人か見に来てくれて映研の活動が伝わったのではないかと思います。

 

今年の新歓は残すところあと二回。

 4/27(火) ジョーカー 

 4/30(金)  TENET

を予定しております。

 

興味があったらぜひお越しください~!

 

【おまけ】

去年作ったけど張り出されなかったポスターたち

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ジョーカーをモチーフにしたポスター。爆破される自然研が目を引きます

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チェンソーマンからはじめる映画入門。おすすめ

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平沢進と関係が深い映画3選。ファン必見!

 

※文責:MYMT

*1:某部員のアパートに部活のPCを置いただけの部屋を指す。

【活動報告】新歓してます

 おつかれさまです*1MYMTです。私事ですか最近研究室に配属され、ハイスペックなPCをプライベートで乱用する方法を画策する日々を送っております。

 さて、今年も例年通り例のごとく恒例の新入生歓迎会を敢行しております。

今年度はコロナウイルスの流行の影響からオンライン講義・オフライン講義が混じっているためサークル活動用の教室の貸し出しができないとかなんとかで上映会は無しで食事会*2をしています。

4/19以降の新歓からは講義室が借りれそうなので上映会⇒食事会のム―ヴを

ご期待ください(渡哲也(マグロ))

 

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図1.今後の新歓の予定


だいたい16:45~総合教育講義棟A階入ってすぐ、自動販売機のあたりで集合してます。

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図2.自動販売機の前にボードを配置している様子

 

本日は予想より多くの1,2年生が来てくれてとても賑やかな会となりました。

少人数のグループに分割、アルコール消毒・マスクの着用など感染症対策を徹底しつつ新入生同士の交流も深められたことと思います。

参加者はそれぞれ映画だけでなく動画編集、アニメ、映画製作などわりと興味の対象は違っていますが、なんやかんや好きなものがあって、それについて追及する姿勢みたいなのは共通していてお互いにいい刺激になったのではないでしょうか。

(引率の先生みたいなコメントになってしまった)

 

今日は上回生が4人だったので運営がおぼつかず、行こうとしたお店に入れなかったりとハプニングもありましたが、なんとかなったことと思います(ごめんなさい)。

2年生のMYS君も連日運営に参加してくれてとても助かっています。他の2年生も参加してくれたらうれしいですね。

MYS君のコメント「思ってたより(参加者が)多くてびっくりしました」

 

新歓の後は上回生で集まって反省会や仮面ライダーの話をしました

 

 

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おまけ:仮面ライダー食玩で遊ぶ成人男性たち

 

 

ではまた。

*1:大学生特有の挨拶。朝昼夜と時間に影響しない圧倒的な汎用性を誇るがその実、疲弊するほどタイトな日常を送っているものは少ない

*2:新歓期の食事会では新入生の会費がタダになる。なかには新歓を渡り歩き10万円近く奢ってもらうプロ新入生の存在がまことしやかに囁かれている

【部誌】EIKEN STYLE vol.6 オンライン公開

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表紙

2020年10/31に行われた金大祭にむけて部誌を制作したのですが、配布できなかったようなのでブログ記事の体裁で公開したいと思います。

このページからすべての記事リンクへ移動できます。

カテゴリ:部誌vol.6からも閲覧可能。

前書き

前書きです。新入生へ向けたメッセージ

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kindaieiken.hatenablog.com

 

レビュー

 部員珠玉のレビュー集。鋭い感性で映画を読み解いていく…

kindaieiken.hatenablog.com

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エッセイ

 日記、旅行記、教育実習ルポ、妄想......映研の""リアル""がここにある!(本当か?)

kindaieiken.hatenablog.com

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編集後記 おくづけ

読まなくてもいいです。

kindaieiken.hatenablog.com

 

おまけ

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これもう半分『コミック百合姫』だろ......

 

【部誌vol.6】編集後記及び奥付

《編集後記》

 今年は新型コロナウイルスの流行の影響により、例年通りの学祭とはいかなかったが、合同新歓は実施されるようだ。「新入生に少しでもサークルの雰囲気を知ってもらえれたら」という思い半分と、部誌を発行したいという僕の思い(自己満)で発行した部誌ですが、部員の皆さんの協力のおかげで形にすることができました。寄稿していただいた部員と、そしてここまでとばしとばし読んでくださった皆さんに感謝を。

 さて、去年の部誌はスケジュールがキツキツの石川啄木だったのですが、今年はそれよりも更にシビアでした。編集後記を書いてる時点でまだ原稿が揃ってないんですけど、大丈夫なんですかね?まぁこういうのってレポートとかもそうだけど、締め切りのキワキワが一番パフォーマンス上がるところあるから、そこらへんは改善のしようがないし、改善する意義も薄いんじゃないかな。でも原稿が落ちるのはコワい。上映会の後は来年に向けてレビューを書き溜めとくのはどうでしょうか。反省おわり

  

   (冷え込んだ夜の寒さが、アルミサッシ越しに伝わる自室にて)

  

 

奥付

『EIKEN STYLE vol.6』

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発行:金沢大学映画研究会 部誌編集部

発行協力:文文文庫

編集・表紙デザイン:葉入くらむ

印刷:インフィールドⅠ(某部員宅)

発行日:二〇二〇年 十月 三一日

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連絡先

Email : kindaieiken@gmail.com

Twitter:@kindaieiken

本誌は2020年金大祭にて無料で頒布されました。

無断転載厳禁。   

 

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学校の図書館でラノベを読ませてくれ(葉入くらむ)

文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫) | 野村 美月, 竹岡 美穂 |本 ...

 先日、部屋の掃除のついでに漫画を売ろうと思って自宅近郊の古本屋へ行った。

そこは地元にいた頃あしげく通っていたブックオフよりも品ぞろえが豊富で、CDやDVDもいろいろと置いていた。「なんか面白いCDでもないかな。仲間由紀恵のやつとか」と眺めてたらサブカルの雰囲気をものすごくまとった女性(ティファニーでそういうフレーバーの香水がある俺は知ってる)が洋楽のコーナーを漁っていて趣を感じた......のは全く関係ないんですけど、学校の図書館でラノベを読ませてくれませんか。

その店、『ベン・トー』とか、『とらドラ!』が1冊50円で売ってて、しかもセールで半額になってたんで4冊100円(税抜き)で買えちゃうんですよね。さすがに「買っちゃおうかな.....」と思ったんですけど、結局宮木あや子の『官能と少女』だけにしました。なんでかというと、今ラノベを手に入れたとして、それを学校の図書館で読むことはできないからです。学校の図書館でラノベを読ませてくれ。

 

ベン・トー 全15巻セット (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 全15巻セット (スーパーダッシュ文庫)

  • 作者:アサウラ
  • 発売日: 2014/06/16
  • メディア: 文庫
 
とらドラ! 文庫 全10巻 完結セット (電撃文庫)

とらドラ! 文庫 全10巻 完結セット (電撃文庫)

  • 発売日: 2010/11/01
  • メディア: 文庫
 

ここでいう「学校の図書館」には大学の図書館は含まれない。というか大学の図書館で本読んでる人いるんですか?みんなラップトップカタカタしてレポート書いてるだけじゃねえか。なんなんだお前ら、モンスターエナジー持ち込むな。缶飲料禁止だぞ、ここ。複素解析の課題をやるな。マセマを見ながら例題を解くな。俺が使えなくなるからマセマの参考書は借りるな。純粋にラノベ読んでる人、いないじゃねえか。グループスタジオ一生使わん。帰ろ。

ね、「学校の図書館」にはパソコンとかスマホとか持ち込むやついないからさ、大学の図書館は違うんですよ。大学の図書館でなく「学校の図書館」でラノベを読ませてくれ。

 

 

 

 給食の時間が終わり、友達との適当な雑談を切り上げ一人で図書館に向かう。片手に一通り読み終わった『文学少女と飢え渇く幽霊』を持って教室のドアを開ける。図書館独特のワックスの匂いがする。返却カウンターに向かって歩きつつ、それとなくラノベコーナーをチラリと眺める。(ちくしょう、『デュラララ!!×6』いつになったら帰ってくるんだよ。表紙がえっちだからって独占すんなよな。)本を返却する。今日の図書委員は1年生だろうか。体に対して制服が大きすぎる気がする。『デュラララ‼』、借りられちゃってるし......帰ろうかな......。ふと、読書スペースに誰かいることに気づく。

 本田さんだ。本田さんは隣のクラスにいる眼鏡をかけた女子生徒だ。それであの、「おさげ」っていうの?髪の毛クルルしたやつが、ふたつ垂れ下がってる、アレ。あの髪型......なんかな?そうだよね、えっ?違うかもしれんわ。自信なくなってきちゃった。あのアレが似合っているおとなしい感じの生徒だ。図書館でよく会う。1年のときは同じクラスで後ろの席にいたけれど、あんまり話さなかったなぁ......。そういえばプリント回すときにちらっと見えた字がやけにキレイだった。習字通ってるのかな。いやいや。俺、通ってたけど全然字上手くならなかったじゃん。などと考えてたら本田さんが、本(『The Manzai』)から目をそらしてこっちを見た。このまま帰るのも気まずいのでなにか読もう。『バカとテストと召喚獣』に伸びかけた手をひっこめ、『キノの旅』を手に取った。絶妙な距離感の席を見つけて腰を掛ける。

ページをめくる『1話 人の痛みがわかる国』。星新一みたいだな。何ページ読んだだろうか、相棒のキャラがしゃべるバイクということに気づいたころ、本田さんが口を開いた。

---「私も、それ、......すき。」急な発言に戸惑う、まだぜんぜんぜん読んでないからどう返せばいいかわからない。まだオチがわからないし、これ1巻なんだけど。「私"も"」ということは「俺がこの本が好き」という前提の発言ということになる。でも「俺も!」って返すのもヘンだよな。やべえどうしよ。

---「そうなんだ。ちょっと、まだ読んでないから、よくわかんないけど......。」悪手。めっちゃ興味なさそうな返事をしてしまった。もうちょいなんかあるだろ。これ家に帰って反省シミュレーションするやつだ。最悪すぎる。

---「あっそうだよね。ごめん。」本田さんはしゅんとしてしまった。しばらく無言でお互い本を読んでいたが、本田さんはスクールバッグ(黒子のバスケのアクリルキーホルダーがついている)に本をしまって出ていってしまった。『キノの旅』のつづきは、まだ読んでいない。

 

 

みたいなことさせてくれ。学校の図書館でラノベを読んで、そんな感じのことが起きてくれ。表紙がちょっと恥ずかしいからなるべく机と水平になるような体勢で『ロウきゅーぶ』読ませてくれ。

中学時代、本田さんとかいなかったから。やたら2ちゃんの話をする声がデカい図書委員しかいなかったから。助けてくれ。

 

 

「レンタル彼女」のオプションで「レンタル文学少女」やってくれねえかな。そういうデートってことにすれば割といけそうじゃんね。あとは公立中の図書館を抑えられるかだな。最悪市立図書館でも雰囲気は出る.....のか?いや、休日ばったり学外の図書館であったとしたらあるいは......。もはや学校の図書館じゃないけど。私服が意外とかわいくてテンション上がるパータンだとすれば、あるぞ。ありますねぇ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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おわり

<部員の個人ブログ*1より引用> 

 

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kindaieiken.hatenablog.com

 

*1:「虚無らがえり」https://comkaeri.hatenablog.com/

教育実習回顧録 (耳朶缶コーヒー大魔王)

教育実習回顧録

耳朶缶コーヒー大魔王

 

 私は、金沢大学学校教育学類社会科専修の四回生である。今年の夏、市内の公立学校で教育実習を行った。実習とは確かに辛いものであるが、得るものも大きい。終わった今でも思い出すことが多い。そこで、実習中に感じたことを書きとめることにした。一年生の諸君、これを読んで、教員という職を是非とも検討していただきたい所存である。

 今回の小学校での実習は、わずか二週間。昨年の中学校での一か月間に比べれば、どうということはない。しかし、実習初日にして、拙僧(せっそう)*1は重要かつ最大の局面に出くわした。

 実習初日、配属されたクラスの子ども達と拙僧の仲を深めるために、質問タイムの時間があった。「好きな食べ物はなんですか」、「出身はどこですか」、「虫は好きですか」、「休みの日は何をして過ごしていますか」、「好きな音楽は何ですか」―なるほど。子どもが純粋とはこういうことなのか。こんなことが気になるのか、長らく忘れていた。なんだ。どうということはない―自分なりにユーモアを交え、子ども達を笑わせながら卒なくこなした。しかし、神の悪戯なのか、奴は忽然と姿を現した。窓際の女の子が立ち、拙僧にこう聞いたのだ。

 

-----「好きなアニメは何ですか」と。

子どもは非常に目ランランで拙僧の答えを待った。しかしながら、拙僧の刻は止まった。なぜなら、拙僧の好きなアニメがよりにもよって『私に天使が舞い降りた!』*2通称『わたてん』だったのだ。幼女たちがただひたすら尊く、荒んだ心をpurgeしてくれるあの(、、)アニメだ。

焦った。

違うアニメを言わなければと考えれば考えるほど、みゃー姉が、花が、ひなたが、乃愛が、花音が、小依が脳内で喋り、拙僧をオタクの状態へといざなうのだ。時間にするとわずか三秒。しかし、私はオタクが出ないように、長時間反骨の精神でいたように思う。何度、オタクモードになろうとしたことか。みゃー姉と叫びたくなる衝動を何回押さえたことか。しかし、拙僧は戦争に勝ったのだ。

 

-----「私が好きなアニメは、ガンダムです。」と答えた。

普段、拙僧の一人称は「僕」なのだが、「私」と答えたのは、わたてんの呪いである。だが、戦争に勝った瞬間であるのだ。勝利を納め、盃を交わしたのだ。

 

 ここで言いたいことは、教員である以前にオタクであると隠すのが非常に大変であるということだ。拙僧の場合、わたてんだったからまずかった。小学校五年生のかわいいかわいい天使がひたすら癒してくれるアニメが好きと言っては、学校でどのような末路を迎えたのか。今思うと想像するだけで末恐ろしい。

 これを読んでいる一年生を含む教員を目指しているオタクたち。学校とは非常におそろしい空間である。オタクという人種がどれほどいるのか。子どもだけでなく同じ教員の中に、どれだけのオタクがいるのか。少ないであろうなあ。そこは、肝に銘じてほしい。そこを乗り切れば、かわいい子ども達との時間があるはずだ。

 

 最後に、わたてんを知らないのなら是非とも見てほしい。人生が変わる。少なくとも、拙僧はそうである。二期が来ると拙僧は強く願っている。君たちも願うのだ。わたてんは世界を平和にするであろう。

 

 

ジーーーーーーーーーク……………わたてん!

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*1:

僧侶が自分をへりくだって言う一人称。武士が言う「拙者」に相当する。

*2:

『私に天使が舞い降りた!』は一迅社の月刊誌『コミック百合姫』にて連載中の漫画。二〇一九年一月から三月までテレビアニメが放映された(動画工房制作)。メインキャラクターのほとんどが小学五年生。(担当教師がこんなの見てたら親御さん心配しちゃうよ・・・)